宝石買取のマル秘テクニック
差し引いても、Bの商品が好き、それをお客様に是非とも伝えたい、そういった強い思いが、販売員の一人一人から伝わってこないのだ。
ユナイテッドアローズ事件を乗り越えて、Bが上昇気流に乗って拡大路線を続けていつた九〇年代後半こなわれない。
それ以降に入ったであろう若いスタッフの間では、濃い接客はあまりおということは、販売の現場において、組織メンバーの能力を引き上げ、最大限に発揮させる力としての人材活用、そのために効果的に組織を運営する力としての組織マネジメントは、今のBが抱えている問題のひとつなのだ。
販売とは、「売りつける」のではなく、「プロとしてのアドバイス」だと思う。
お客は何か漠然と欲しいと思うから、店を訪れるのだ。
その時に、適確な反応があって自分か欲しかったものを提示してくれる。
自分では気がつかなかったアドバイスがもらえる。
そんなコミュニケーションを重ねて手に入れたものは、洋服に限らず濃い嬉しさがつきまとうものだ。
Bの場合、セレクトショップで多数のブランドがあることを鑑みると、モノによっては、やはりブランドの特徴なりデザイナーの背景なりを聞けたらと思う。
今までBは、自由閥達な風土を愛し、会社から従業員に向けて、一方的な押し付けや命令をよしとしない企業だった。
それよりは、自主的な発想やそれに伴う責任を尊重する企業だったのである。
つまり、「脅威」によって人を動かすのではなく、「自主性」によって人を動かしてきたと言ってもいいだろう。
ただ、Bとしての企業知名度が上がり、憧れの職場のひとつとなった段階で、「ビームスで夢を実現したい」というより、「Bにいる自分がかっこいい」という人材が、一部とはいえ存在するようになったのではないか。
ここでもやはり、濃いDNAを宿した層と、薄まったDNAを持った層との乖離をなくすことは、企業として乗り越えるべき問題だ。
それに対して、業務の標準化を図ってマニュアルを徹底させ、組織として均質化したサービスを提供していく。
仕事の枠組み・仕組みをシステムとして徹底させる。
それに対するインセンティブを与える。
これもひとつのやり方だ。
そういった小売店は決して少なくない。
洋服を買いに行っても、「こんにちは」から始まって、お客の動きに密着して動き、懇切丁寧に商品説明をしてくれる。
最後は、何か販売員に押し通される形で、さほど好きでもないものを買わされてしまう。
そんな経験をした人も少なくはないだろう。
ユナイテッドアローズでは、「店はお客様のためにある」という思想に基づき、定期的に徹底した研修をおこなっている。
それだけに、各ショップにおける販売員の対応は丁寧だ。
ただそれが、どの店に行っても心地よいかというと、そう一概には言えない。
非常に心がこもっていて嬉しいという対応もあれば、形だけ踏襲していることが透けて見える対応もある。
接客サービスとは、実に難しい仕事だ。
阿吽の呼吸で相手が求めているモノなり情報を察知して提供する。
それが欲しい時に欲しい量だけ提供されると、人の心は動くものだ。
だからこそ、マニュアルだけでは通用しない世界と言えるのかもしれない。
もっとBらしい、人間臭さを大切にした組織マネジメントのあり方があってもよさそうと思うのは、私の穿った見方だろうか。
標準化や均質化ではないところで、販売という難しい仕事の枠組みをどう作っていくのかは、Bが抱える大きな課題と言える。
せっかく旬な商品が並んでいるだけに、是非、Bでも販売員のコミュニケーションの温度が上がってほしいと思うのだ。
革新的な創造性”の強みと弱みBには、何度も繰り返すようだが、新しいことを送り出してくる企業イメージが定着している。
これまで世の中であまり見たことがなかったような、独自性の強いモノやコトを次々と展開してきたのである。
S自身のアイディアももちろんあるが、前述したような個性豊かな社員からの発案を積極的に取り入れている点も特徴だ。
組織マネジメントにおいても、一人一人の自由度を高めて、創造性に重きを置く従来の日本企業が、どちらかというと画一的で、上下関係に自律的な人材を重用していたのとは対極を行く手法をとってきた。
環境の激変に軽やかに対応して、新しいものを生み出していく。
そしてそこに、適確な人材を配置していく目まぐるしいばかりの動きを続けてきた企業なのだ。
その意味では、“革新的な創造性”を遂げてきた企業、それがBと言える。
たとえばそれは、自動車業界でたとえると、ホンダの持っているイメージと、Bは近いポジションにある。
常に創造的なことに挑戦し続ける姿勢。
ホンダの「ワイガヤ」に象徴されるように、一人一人の意見が自由間達に行き交う組織体。
そして、何か人間臭い雰囲気が発信されている企業−組織には、もうひとつのベクトルがある。
それは、創造性をキープしながら、地道な改善を日々積み重ねていく手法だ。
各人の意見を尊重しながら、企業のあるべき方向に自主的に向かわせる。
全社的な統率を図るために、徹底して企業理念や基本戦略を理解させる。
そのための教育制度や明文化された綱領策定に注力する。
つまり、全員が足並みを揃え、創意工夫を重ねながら、成果を積み上げる企業体だ。
言い換えれば、”漸進的創造性”を持っている企業と言えるだろう。
前者と対比するために、自動車業界で考えると、これはトヨタが持っているイメージに近い。
九〇年代を通しておこなってきた一連の組織・人事制度の改革は、社員の納得性を重視した漸進的なものだった。
その結果、じっくりとだが確実に、一人の消費者がトヨタに抱くイメージは変わっているのだ。
私自身にとっても、トヨタから出てくるクルマが何か変わってきた、新しい発信力がジワジワと高まってきたイメージがある。
あたかもボディブローのように、じわじわと創造的に進化している。
松下電器産業も、似たような動きを感じる企業だ。
ファッションの領域で言えば、ユナイテッドアローズは、“漸進的な創造性”を持った企業だと私は思う。
かつて、Bを飛び出したメンバーが創業したことを考えると、奇しくもという感慨がある。
漸進的創造性”との差異Bから分かれて一四年。
ユナイテッドアローズでは、前述したように「店はお客様のためにある」あるいは「あくまで洋服屋である」という姿勢を貫いてきた。
徹底した販売員教育が、全国に及んで定期的にきめ細かく実施されている。
「仮説と検証を繰り返すために、週に一回、全役員始め、商品、販売、広告、財務などの担当が集まって店舗や商品、接客に及ぶ課題について、話し合う場を開き続けている。
組織風土、商品や販売の顧客満足、経営管理についての構造改革委員会を設け、定期的に社長報告がおこなわれる。
そのいずれもが、形骸化せずに運営され続けた点が底力となって、ここ数年の快進撃につながっているのだ。
「二〇一一年には売上げ1000億円を目指す。
これも、単に拡大路線を引くのではなく、自制心と自律心を持って、正しい1000億円を稼ぐ」という方針も明快だ。
私は個人的に、定量的な拡大だけを目標に置くことには、あまり賛成はできない。
が、ユナイテッドアローズの方針には、ビジネスにおける基礎デザインを感じる。
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